今回は住宅購入の際に役に立つ住宅性能評価制度についてみていきます。

・住宅性能評価書
住宅性能表示制度は、国が定めた基準により、住宅に点数をつけ比較することができる制度です。この制度に基づき住宅性能評価書が発行されます。住宅の性能が数値化されているため、住宅購入時の判断材料として役立つほか、住宅ローンの優遇や保険料の割引を受けることが可能です。

・住宅性能表示制度
住宅性能表示制度とは、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づいた制度で、国に登録されている第三者機関が、共通基準である評価方法基準をもとに評価します。そのため、住宅購入者は、これらを比較し住宅購入の参考資料の一つとして活用することができます。住宅性能表示制度は冒頭の住宅性能評価だけではなく全部で2種類、設計段階で図面を確認する設計性能評価と、住宅完成後に確認する建設性能評価があります。住宅性能表示制度は任意の制度であるため、制度を利用するかどうかは住宅購入者に委ねられており、実際に全ての物件で活用されているわけではないのが現状です。このことから、平成27年4月には、制度の見直しが実施され、10項目あった必須項目が、①構造の安定に関すること、②劣化軽減に関すること、③温暖環境に関すること、④維持管理・更新の配慮に関することの4項目へと大幅に緩和されました。

・住宅性能表示制度のメリット
住宅性能表示制度は、住宅の性能を簡単に比較することが可能なだけではなく、住宅ローンや地震保険などを利用することもできます。不動産に詳しくない方としては、住宅性能評価書の見方を知らないばかりか、存在も知らない場合も多いので、住宅の検討材料としての利用というよりはむしろこれらの点での利用価値が最も大きいのではないでしょうか。地震保険は耐震等級が最高等級である3を取得していれば、地震保険の割引率50％が適用されますが、等級によって割引率が異なるので注意が必要です。 また、他にも、将来住宅を売却する場合、住宅性能評価書を取得していることによって、資産価値が増加する可能性もあります。更に、売主と買主の間に、住宅性能評価書が交付された住宅に関する争いが起こった場合、住宅専門の紛争機関が間に入り処理を行ってくれます。申請料を1万円支払うことにより、弁護士などの専門家の調停や仲裁を受けることが可能で、紛争の簡易・迅速な解決が望めます。

・住宅性能表示制度のデメリット
多くのメリットがある一方で当然デメリットも存在します。取得しない場合と比べて様々な費用がかかるということもその１つとして挙げられます。取得に係る直接的な費用の他に、等級を上げることによる建築コストの増加もあります。住宅性能表示制度を受ける際にかかる費用の相場は10万円～20万円です。しかし、全ての等級を最上級にしたところで、快適な住宅になるとは限りません。例えば、日当たりの良さを求めて窓を大きくすることにより、必然的に耐震評価が下がる可能性があります。このように間取りや周辺環境、ライフスタイルによって、必要な等級レベルを判断する必要があります。また、住宅性能評価書を取得しておけば絶対に不具合が起きないという保証はありません。住宅性能表示制度の評価対象となっている箇所は調査が行われますが、その他の箇所は保証されません。そのため、住宅性能評価を過信しすぎず、住宅購入の参考の1つと考え、アフターメンテナンスや定期検査などが充実しているハウスメーカーや工務店選びその他事項も満遍なく検討することが必要です。

・まとめ
住宅性能表示制度を活用することにより、住宅の性能を簡単に比較することができるだけでなく、住宅ローンの控除や地震保険の割引などの優遇を受けることもできます。しかし、取得費用や建築コストが上がるため、自分にあった等級レベルを慎重に考慮する必要があるほか、住宅性能表示制度を利用したからといってその住宅の安全性が完全に保証されるわけではないので、あくまで参考の1つとして考え、多角な視点をもって住宅探しを検討する必要があります。また、住宅ローン控除や火災保険の割引については事前に適用できるか、できる場合にどの程度できるか、事前の確認も忘れないよう注意しましょう。